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老後の年金には税金がかかる!確定申告しないと損することも!

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毎年2月16日ごろから3月15日ごろまで(*)は、確定申告の時期です。老後の年金には税金がかかるということをご存じでしょうか。
(*)2020年は2月17日~3月16日

今回は公的年金の税金および、確定申告をはじめとした手続きのしかたについて解説したいと思います。

老後の年金には税金がかかる

老後の年金は「雑所得」となり、所得税と住民税が課税されることとなっています。税額計算のベースとなる所得金額は、国税庁のサイトにある速算表に当てはめて計算します。基本的な考え方としては、

公的年金等にかかる雑所得 = 年金受給額 - 公的年金等控除額

となります。ここでいう「年金」には、老齢厚生年金や老齢基礎年金の他、公務員などの共済組合からの年金、企業年金なども含まれます。また、公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています。

■公的年金等に係る雑所得の速算表(平成17年分から令和元年分まで)

年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円

(出典)国税庁Webサイトより

公的年金等の雑所得額は、この表をもとに以下の式により計算します。

公的年金等に係る雑所得 = (a)年金収入の合計額 ×(b)-(c)

算出された金額((a)×(b)-(c))に、他の所得がある場合はそれらを合算し、基礎控除などの各種所得控除を差し引いたものが課税所得金額となり、これに税率をかけて税額を算出することになります。

税額の計算や税率については、他の所得がどのくらいあるかによっても異なりますので、所得税については税務署に確認しましょう。住民税については自治体によって異なっていますので、お住まいの市区町村に確認するのがよいでしょう。

なお、公的年金等に係る雑所得の速算表は、税制改正により令和2年からは以下のように変更されます。

■公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以降)

公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下
年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が600,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
600,001円から1,299,999円まで 100% 600,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,100,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
1,100,001円から3,299,999円まで 100% 1,100,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円

(出典)国税庁Webサイトより

 

税金は年金から天引きされる

所得税は確定申告を行って税額を確定させてから支払うのが原則ではありますが、年金の場合には、給与と同じように受給額に応じて所得税が源泉徴収されます。

ただし、全員が源泉徴収されるわけではなく、1年間に実際に手にした年金(年金額として通知書等に記載された金額とは異なることがあります)が一定額以上となる場合に源泉徴収されます。一般の老齢厚生年金、老齢基礎年金の場合は以下の場合に源泉徴収があります。

源泉徴収の対象者

  • 65歳未満の人:年額108万円以上
  • 65歳以上の人:年額158万円以上

上の条件を満たさない人は源泉徴収されませんが、必ずしも非課税とは限りません。他の所得によっては税金がかかる場合があるので注意が必要です。その場合、確定申告で精算することになります。

また、住民税についても、4月1日時点で65歳以上で、住民税が課税されている人は、所得税と同じように住民税も天引き(「特別徴収」)されます。こちらは前年所得から計算されて確定した金額が差し引かれることになります。